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東京地方裁判所 昭和25年(ワ)3537号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事實)

原告は係爭土地について古くより借地権を有していたが、該土地は昭和二十一年十月一日東京都により特別都市計画法に基く第一次特別都市計画事業の土地区画整理施行地区に編入せられ、同地区内の所有権以外の権利で登記のないものは同月三十一日までに届出るよう告示せられた。ところが原告は右期間内に右借地権の届出をしなかつた。本件の主要な爭点は、原告の右届出懈怠によつてその借地権が消滅に帰したか否かにある。

(判斷)

判決は特別都市計画法及び同法施行令の解釈上、本件においては前記届出懈怠により原告の借地権が消滅したものと認めている。

その理由は次の通りである。

「特別都市計画法によれば、行政庁が同法に基き土地の区画整理を施行する場合、施行地区内の從前の土地の所有者又は地上権者賃借権者等の権利は一應これを消滅せしめ、これらのものに対しては整理施行後の土地につき更めて換地を交付するいわゆる換地処分をなし、これにより権利者に損害を蒙らしめたときはこれを補償するのが一般であつて、特別の場合には換地を交付しないで金銭により淸算するのである。いずれにしても整理施行前の土地の権利者が從前の権利をそのまま主張することはできないのであつて、これらのものはその代償として換地の交付を受ける権利を有するに過ぎない。しかしていわゆる換地処分につき、同法施行令第四十五條は、所有権以外の未登記権利者も換地の交付を受け得ること、及びこれらの権利者は土地区画整理施行地区の告示のあつた日から一ケ月以内に、その土地の所有者と連署し、又は権利を証する書類を添付し、書面を以て整理施行者に権利の種別及びその目的たる土地の所在を届出ることを要し、この届出をしない場合は換地の交付を受け得ないことを規定している。これは特別都市計画法による土地区画整理は戰災都市を対象とするものであるから、所有権以外の未登記の権利については、権利者の届出がない限り、整理施行者がこれを知ることは困難なので、公的性質を有する都市計画事業の施行に当り権利者に対して一定期間内に届出をなす程度の協力を求め、これに應じないものに対しては換地の交付を受け得ないという不利益を帰せしめてもやむを得ないという趣旨に出でたものと解すべきである。

本件について見ると、東京都は昭和二十一年十月一日特別都市計画法施行令第十條に則り、本件土地を含む新宿区角筈一、二丁目全部を第一次特別都市計画事業の土地区画整理施行地区に編入してこれを告示したが、原告は同日より一ケ月の期間内に、同令第四十五條による未登記の権利である本件借地権の届出をしなかつたことは原告の爭わないところである。

そうだとすれば、区画整理施行後の現在、その施行前の原告の本件借地権は既に消滅したものであるから原告はこれを主張し得ないことは勿論であり、又前に述べた理由によりその換地の交付を受ける権利をも喪失したものである。

原告は罹災都市借地借家臨時処理法の規定を援用して区画整理施行による借地権の消滅を否認し、又所定期間内に借地権の届出をしなかつた理由として、原告が区画整理施行地区の告示を知らなかつたことを挙げてその効果を否認するけれども、罹災都市借地借家臨時処理法は区画整理による換地処分が確定した場合、これを從前の土地と同一に取扱うことを定めたに止まり、本件原告主張の如く換地のない場合從前の借地権をそのまま認める根拠となすに足らず、又東京都が法令に基き区画整理施行地区の告示をなした以上、仮りに原告がこれを知らなかつたため権利の届出を怠つたとしても、その責任を免れることはできないものというべく、いずれも前記の解釈の妨げとはならない。」

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